Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
「あつかましい男だぞ」
顔見あわせて、仲間の者は笑ったが、
「三蔵、おごれよ」
と、そこを離れて、しばらく遠くへ影を沈めていた。
三蔵は、いきなり、於通を抱きしめた。
「おいっ……。会いたかったよ。於通、どんなに俺あ、おめえを、案じていたかしれねえぜ」
於通は、その手を、拒みもせず、自分の手を、さしのべもしなかった。
「……そうですか。そんなに」
「だって、そうだろうじゃねえか。おめえは、俺との約束なんか、忘れちまったのか」
「忘れやしませんが、約束の場所へ、来なかったでしょう」
「それがよ。勝入さまから、また大役をいいつけられ、お暇のおゆるしが出なかったんだ。――よっぽど、逃げ出しちまおうと思ったが、この戦場じゃ、ヘタをやると、首があぶねえ」
「だから、あなたのせいでしょう。私が約束をちがえたわけではありません」
「そ、そんなことを、云い争っているわけじゃねえ。俺は、こんなにも、胸いっぱい、おめえを忘れずにいたということを分ってくれればいいんだよ。――だが、いつぞや、犬山城のお城外で、おめえが、秀吉様の近習方にまじって、澄まして、馬で通ったときは、気絶するほど、びっくりした。