Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

先刻から、黙って、神後五六郎の後ろに佇んでいた疋田小伯は、

「まあ、まあ」

進んで、人々を宥め、

「見うければ、まだ、どこやら乳くさい小冠者。生意気ざかりという頃だ。しかし、御家憲に反くのみか、武家奉公しながら、武道を嫌うては、この者の不幸でもある。穏やかに、わしから訊いてやろう。一同はお鎮まりなさい」

そういうと、小伯は自身で、日吉の気持をたずねてみた。

「小冠者」

疋田小伯は、日吉へ、呼びかけた。

日吉は、小伯の顔を見て、

「はい」

と、いった。

今までしていた返辞とは、返辞の声が変っていた。

この人なら、どういうことでも、思うまま答えてもいいと、心で許している眼だった。

「おぬし、武家奉公いたしながら、武芸を嫌うそうだな。嫌いなのか」

「いいえ」

日吉は、かぶりを振った。

「――ではなぜ、折角、御家中の方たちが、親切に稽古をつけて下さるというのに、稽古をせぬのか」

「はい、それはこういう理でございます。――槍の修行をしても一生、剣の修行をやっても一生、その道の達人となるには、どうしても生涯かかるでございましょう」

「うム、その気でなければならぬ」

「てまえも、人なみの一生涯しか生きられないものとすると――刀術や槍術も嫌いではございませんが、まあまあ、その精神だけを知ればよいと思っております。