Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「はい。そうです」

「なんだ。日吉なら日吉と云やあいいに、幽霊みてえに、元気のない声を出しやがって、どうしたんだ」

「表は、開きませんし、裏へ廻って、覗いてみると、おじさんは寝ている様子。――今、寝返りを打ったご様子なので、呼んでみたので」

「つまらねえ遠慮をしていやがる。女房が買物に出たらしいから、木戸を閉めて行ったんだろう。待てよ、直ぐ開けてやるから」

乙若は、草履をはいた。

そして、日吉に足を洗わせ、家の中へ入れると、ややしばらく、その姿を眺めていた。

「どうしたんだ一体。いつか途中で会ったが、あれからでも足かけ三年、生きてるのか死んだのか、音沙汰もないので、中村のおふくろも、ひどく案じているようだぞ。――無事な顔を見せてやったか」

「いいえ。まだ……」

「家へは帰らねえのか」

「家へは、ちょっと、行って来ましたが」

「――だのに、おふくろに、まだ顔を見せないとは、どういうわけだ」

「実はゆうべ、そっと、我家の外まで行って来ました。けれど、おふくろ様や姉の顔を、外から一目見ただけで、閾は跨がずにもどって来たんで……」

「妙な奴だな。自分の生れた家じゃねえか。なぜ、今帰って来ましたと、無事な姿を見せて、みんなにも欣ばしてやらねえのだ」