Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme

Aozora Bunko

おとうさんが立って行ってしまうと、うちの中は急に寂しくなりました。はじめの一日や二日は、娘もおかあさんのお仕事をしているそばでおとなしく遊んでおりましたが、三日四日となると、そろそろおとうさんがこいしくなりました。

「おとうさん、いつお帰りになるのでしょうね。」

「まだ、たんと寝なければお帰りにはなりませんよ。」

「おかあさん、京都ってそんなに遠い所なの。」

「ええ、ええ、もうこれから百里の余もあって、行くだけに十日あまりかかって、帰りにもやはりそれだけかかるのですからね。」

「まあ、ずいぶん待ちどおしいのね。おとうさん、どんなおみやげを買っていらっしゃるでしょう。」

「それはきっといいものですよ。楽しみにして待っておいでなさい。」

そんなことをいいいい、毎日暮らしているうちに、十日たち、二十日たち、もうかれこれ一月あまりの月日がたちました。

「もうたんと、ずいぶん飽きるほど寝たのに、まだおとうさんはお帰りにならないの。」

と、娘は待ち切れなくなって、悲しそうにいいました。

おかあさんは指を折って日を数えながら、

「ああ、もうそろそろお帰りになる時分ですよ。いつお帰りになるか知れないから、今のうちにおへやのおそうじをして、そこらをきれいにしておきましょう。