Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
二
二
六部はそれからすぐと、丹波国へ行きました。そして村ごとに足を止めて、
「この村に、しっぺい太郎という方はありませんか。」
といいいい、たずねて歩きました。けれどもどこへ行っても、
「そんな名の人は知らない。」
と答えられました。
二日、三日、四日とたずね歩いて、どうしてもわからないので、六部は気が気ではありません。五日めにはもうがっかりして、体も心もくたびれ切って、とうとう山奥に迷い込んでしまいました。すると運よく、一軒のりょうしの家を見つけたので、痛む足を引き引き、門に立ちました。いくら苦しくっても、六部はまだしっぺい太郎のことを聞くだけは忘れませんでした。
するとりょうしは、しばらく考えていましたが、
「さあ、そういう名の人は知りませんが、うちの飼犬にはしっぺい太郎という名がついていますよ。」
と答えました。
六部は、はじめて気がついて、「ははあ、何だ、しっぺい太郎というのは犬の名であったか。それでは分からないはずだ。」と思いながら、
「ええ、多分それです。それです。そのしっぺい太郎です。その犬を見せて下さい。」
といいました。やがて主人に呼ばれて出てきたしっぺい太郎を見ますと、小牛ほどもある犬で、みるからするどそうな牙をしていました。