Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
春山秋山
一
むかし、但馬国におまつられになっている出石の大神のお女に、出石少女という大そう美しい女神がお生まれになりました。この少女をいろいろな神様がお嫁にもらおうと思って争いました。けれども少女はお嫁に行くことをいやがって、だれのいうことも聴こうとはなさいませんでした。
この神さまたちの中に、秋山の下氷男と春山の霞男という兄弟の神さまがありました。ある日兄の秋山の下氷男は、弟の霞男に向かって、
「わたしはあの少女をお嫁にもらいたいと思っていろいろに骨を折ってみたが、どうしてもいうことを聴いてくれない。どうだ、お前ならもらえると思うか。」
と聞きました。
「わたしなら、わけなくもらってみせますよ。」
と弟の神が、笑いながらいいました。
「ふん、そんならお前とわたしと、どちらが早く少女をもらうか競争をしよう。もしわたしが負ければ、この着物をぬいでお前に上げよう、そしてわたしの背の高さだけの大きなかめに酒をなみなみ盛って、海山のごちそうを一通りそろえて、お客に呼んでやろう。」
といいました。すると霞男はいよいよおもしろがって、
「ようございますとも。そのかわり万一わたしが負けたら、にいさんの代わりに、わたしがごちそうをしましょう。