Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme

Aozora Bunko

松山鏡

一

むかし越後国松の山家の片田舎に、おとうさんとおかあさんと娘と、おやこ三人住んでいるうちがありました。

ある時おとうさんは、よんどころない用事が出来て、京都へ上ることになりました。昔のことで、越後から都へ上るといえば、幾日も、幾日も旅を重ねて、いくつとなく山坂を越えて行かなければなりません。ですから立って行くおとうさんも、あとに残るおかあさんも心配でなりません。それで支度が出来て、これから立とうというとき、おとうさんはおかあさんに、

「しっかり留守を頼むよ。それから子供に気をつけてね。」

といいました。おかあさんも、

「大丈夫、しっかりお留守居をいたしますから、気をつけて、ぶじに早くお帰りなさいまし。」

といいました。

その中で娘はまだ子供でしたから、ついそこらへ出かけて、じきにおとうさんが帰って来るもののように思って、悲しそうな顔もしずに、

「おとうさん、おとなしくお留守番をしますから、おみやげを買ってきて下さいな。」

といいました。おとうさんは笑いながら、

「よしよし。その代わり、おとなしく、おかあさんのいうことを聴くのだよ。」

といいました。