Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
狐の姿が見えなくなったと思うと、また向こうの森の中で、先よりも三倍も四倍もさわがしい人声がしました。保名が驚いて振り返って見るひまもなく、すぐ目の前に一人、りっぱな馬に乗った大将らしい侍を先に立てて、こんどは何百人という侍が、一塊になって寄せて来て、保名主従を取り囲みました。そこで又はげしい戦がはじまりました。保名主従は幾ら強くっても、先刻の働きでずいぶん疲れている上に、百倍もある敵に囲まれていることですから、とても敵いようがありません。保名の家来は残らず討たれて、保名も体中刀傷や矢傷を負った上に、大ぜいに手足をつかまえられて、虜にされてしまいました。
この馬に乗った大将は、やはりお隣の河内国に住んでいる石川悪右衛門という侍でした。奥方がこのごろ重い病にかかって、いろいろの医者に見せても少しも薬の効き目が見えないものですから、ちょうど自分のにいさんが芦屋の道満といって、その時分名高い学者で、天子様のおそばに仕えて、天文や占いでは日本一の名人という評判だったのを幸い、ある時悪右衛門は道満に頼んで、来て見てもらいますと、奥方の病気はただの薬では治らない、若い牝狐の生き肝を取ってせんじて飲ませるよりほかにないということでした。