Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
「やれやれ、これで露をしのぐだけの屋根が出来た。」
と玄翁はつぶやきながら石のそばに寄ってみますと、ちょうど人間の背の高さぐらいのすべすべしたきれいな石でした。玄翁は石の頭に笠をかぶせ、草を結んでまくらにして、つえをわきに引き寄せたまま、ころりと横になりますと、何しろくたびれきっているものですから、間もなくとろとろと眠りかけました。
するとしばらくして、眠っているまくら元で、
「和尚さま、和尚さま。」
とかすかに呼ぶ声がしました。初めは夢うつつでその声を聞いていましたが、ふと気がついて目をあけますと、もう一面の真っ暗やみで、はるかな空の上で、かすかに星が二つ三つ光っているだけでした。
「すると今しがただれか呼んだと思ったのは、気の迷いであったか。」と玄翁は思って、起き上がりもしずに、そのまま目をつぶって寝ようとしました。するとまたうしろの方で、こんどは前よりもはっきり、
「和尚さま、和尚さま。」
と呼ぶ声がしました。
こんどこそ間違いはないと玄翁が思って、ひょいと起き上がりますと、どうでしょう、さっきの石のあった所がほんのり明るくなって、そのかすかな光の中に若い女のような姿がぼんやり見えていました。