Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
中からはぷんといい香りがたって、羽衣はそっくり元のままで、きれいにたたんで入れてありました。
「まあ、そっくりしておりますのね。」
と少女は目を輝かしながら見ていましたが、
「でも、もしどこかいたんでいやしないかしら。」
というなり、箱の中の羽衣を手に取りました。そしておかあさんが「おや。」と止めるひまもないうちに、手ばやく羽衣を着ると、そのまますうっと上へ舞い上がりました。
「ああ、あれあれ。」
と、おかあさんは両手をひろげてつかまえようとしました。その間に少女の姿は、もう高く高く空の上へ上がっていって、やがて見えなくなりました。
帰って来て伊香刀美はどんなにがっかりしたでしょう。三年前に湖のそばで少女がしたように、足ずりをしてくやしがりましたが、かわいらしい白い鳥の姿は、果てしれない大空のどこかにかくれてしまって、天と地の間には、いくえにもいくえにも、深い霞が立ち込めたまま春の日は暮れていきました。