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Japanische Klassiker mit Furigana

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がくせいものがたり

楽聖物語

野村 あらえびす

Lesen Sie 楽聖物語 (がくせいものがたり) von 野村 あらえびす (のむらあらえびす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.667 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

が、その同じミンナはかつてのモーツァルト夫人のように死ぬまでワグナーを理解せず、「リヒアルトがそんなにえらいんですって? ヘエ――それはいったい本当ですか」と他人に聴くほど無理解でもあったのである。

ミンナが肺患になって、その病苦を忘れるために阿片を喫み始め、次第に猜疑心は強くなっていた。折も折、実業家ヴェーゼンドンクの若く美しい夫人マチルデが夫に請うてワグナーをその別荘に迎え、ワグナーの最も熱心なる崇拝者として、毎日訪ねてはその詩と音楽と哲学とに触れた。マチルデは美しくて賢かった。アルプスと湖水とを見晴らす別荘の書斎にワグナーと芸術を語るマチルデの姿は、なんの邪念がなかったにしても、ミンナの目にどう映ったか語るまでもない。

ミンナはとうとう病める胸を抱いて永久にワグナーの許を去った。離婚はミンナの意志でありその後ワグナーが別れた妻に対して経済的援助を続けたにしても、無知な病妻を生涯看通さなかったことに対しての非難は免れない。まして、ワグナーはその後友人にして愛弟子なるハンス・フォン・ビューローの妻にして、リストの娘なるコジマと――正式ではあるが好ましからざる――再婚をしているのである。