Japanische Klassiker mit Furigana
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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
Lesen Sie 楽聖物語 (がくせいものがたり) von 野村 あらえびす (のむらあらえびす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.667 Zeichen · 381 Bildschirme
非凡の弱気
これは第四の躓きである。
歌劇「ウンディーン」の総譜は官吏の不注意で郵送中に失われ、数年後にチャイコフスキーの手許に届いたりした。これは第五、第六の躓きである。
こうしてチャイコフスキーの青少年時代は際限もない失望の行列であった。後年かくも万人に愛され、没後憧憶と愛着の花輪で飾られたチャイコフスキーが、そのスタートの悪さはなんということであろう。チャイコフスキーを無口にし、憂鬱にし「悲愴交響曲」を作らなければならぬ心持にしたのは、こういう不幸の連続のためではなかったと誰が保証しよう。
非凡の弱気
諦めはチャイコフスキーに新たなる勇気と、新たなる題目を与えた。たまたま窓の外に歌う左官の歌に霊感を呼覚されて、「弦楽四重奏曲第一番ニ長調」の有名な「アンダンテ・カンタービレ」を作ったりした。
チャイコフスキーが歌劇のある女優を愛したのは、その頃のことである。女優は美しくて才能と機知に恵まれていた。友人達が二人の間を祝福している頃、女優はチャイコフスキーのことなどは打忘れて、ポーランドで一座の男の歌手と結婚してしまった。チャイコフスキーは怒るよりも驚いていた。