Japanische Klassiker mit Furigana
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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
Lesen Sie 楽聖物語 (がくせいものがたり) von 野村 あらえびす (のむらあらえびす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.667 Zeichen · 381 Bildschirme
最初ハイドンはマリアの妹娘を恋したが、妹娘はハイドンの愛に酬いずに僧院に入ってしまったので、小説的ないきがかりで、愛してもいない、三歳年上の姉のマリアと結婚したのである。
夫人のマリアは頑迷で虚栄心が強くて、芸術などには全く理解がなく、夫のハイドンをして「彼女にとって、夫が靴屋であろうと芸術家であろうと同じことだ」と嘆声を漏さしめたが、人のいいハイドンは、四十年間この不愉快な婦人の傍にじっと辛抱して変らなかった。
翌年ハイドンはアイゼンシュタットのエステルハツィ侯に招かれて、礼拝堂の第二音楽長になり、その半生を託した地位におかれた。翌一七六二年侯が死んで、弟ニコラウスが継いだが、このニコラウスは派手で、寛達で、音楽好きで、心からハイドンを抱擁し、次第にその地位を引き上げて、間もなく第一音楽長として、三十年間の生活の根をそこに据えさせてしまった人である。
ハンガリーにおける三十年間の生活は、ハイドンをしてウィーンの中央楽壇に遠ざからしめたが、その代り生活は安定し、作品は印刷され、その名声はきわめて徐々にではあったが、次第に全欧に広まっていった。この隠遁的な安住の地位に対する、ハイドンの悩みは、時々イタリーに飛んで行きたい熱望となったにしても、ニコラウス侯の優遇はそれを拒んで、ついウカウカと三十年の歳月は過ぎ