Japanische Klassiker mit Furigana
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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
Lesen Sie 楽聖物語 (がくせいものがたり) von 野村 あらえびす (のむらあらえびす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.667 Zeichen · 381 Bildschirme
強大なる自尊心
ベートーヴェンが都振りの小綺麗な紳士で終ったならば、――私はそれを考えただけでも戦慄を禁じ得ない――我らはおそらく音楽芸術の巨大な分野、人類の最も尊い宝物を持つことが出来なかったであろう。
強大なる自尊心
ベートーヴェンの自尊心は、あらゆる芸術家中にも類を見ないほど巨大なものであった。その狷介不羈な魂と、傲岸不屈な態度は、時には全ウィーン人を敵としながら、全世界の人を膝下に踞かしめたのである。
ハイドンはこれを「蒙古王」と言って敬遠し、ゲーテは「手におえない野人」と舌を揮って驚いた。その演奏会に、喃々私語する貴婦人達を叱して、「こんな豚共に聴かせるピアノではない」とピアノの蓋を閉してサッサと帰ったこともあり、普仏戦争当時、戦塵を避けたリヒノフスキー邸で、フランス軍の将校のためにピアノの演奏を迫られ、敢然峻拒して二百キロを歩んでウィーンに帰ったことなどもあった。
彼は召使と争い、隣人と争い、劇場支配人と争い、パトロンの貴族と争い、ほとんど争い続けてその生涯を過ごした。ゲーテと散歩して、ウィーンの宮廷の貴人達と逢った時は、「あの人達は、我らに対してどんな態度をとられるか、こうしてみようではないか」