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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

鐘が鳴るまでに、彼は、残された四問のうち二問だけを、まるで芋虫が蟻に襲撃されてでもいるかのように、いらいらした気持で片づけた。それが自信のある解答でなかったことは無論である。答案を提出して試験場を出ると、彼はすぐその足で便所に走っていった。便所から出て来た時の彼は、ちょっと気ぬけがしたような気持だった。が、もうほとんど人影のない渡り廊下を、校庭の方に向かって歩いて行くうちに、何ともいいようのない無念さがこみあげて来て、ひとりでに涙がこぼれた。彼は廊下の柱に両腕をあて、顔をうずめて、しばらく動かなかった。すると、

「次郎ちゃん、こんなところにいたんか。……どうしたんだい。」

と、恭一の声がすぐうしろの方からきこえた。

「ぼ、……僕、駄目だい。」

次郎は柱によりかかったまま、息ずすりした。恭一は悲痛な顔をして、しばらくうしろから彼を見つめていたが、

「みっともないよ。それに権田原先生が待ってるじゃないか。」

次郎は、やっと涙をふいて、恭一といっしょに校庭の方にあるき出した。そして問われるままに、成績のだいたいを話した。恭一は、国語の方の成績次第では、望みがまるでないこともない、といって慰めたが、そういう恭一本人が、非常に暗い顔をしていた。