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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

二〇 朝の奇蹟

二〇 朝の奇蹟

子供の健気な道心というものは、しばしば大人の世界に奇蹟を生み出すものである。次郎は一夜にして、お浜の盲目的な愛情に理性の輝きを与えた。そして、この奇蹟は、その翌日には、本田一家の生活に、更に一つの奇蹟を生み出す機縁になったのである。

お浜は、翌朝は、もう五時まえに眼をさましていた。そして、床の中で何かしきりに考えているようなふうだったが、店の戸を開ける音が聞えると、そっと、お鶴を起し、二人で台所に行って、何かとお芳の手伝いをした。やがて、みんなが起出し、家の中がひととおり片づいたあとで、彼女は、茶の間に一人で茶を飲んでいた俊亮の前に坐って、言った。

「あたし、今日は、ついでに、大巻さんにもごあいさつに上っておきたいと存じますが……」

「大巻に?」

と、俊亮はちょっと腑におちないといった顔をして、

「そりゃ行くにこしたことはないし、向こうでも喜ぶだろうが、そう無理をせんでもいいよ、私から、そのうちに、お前の気持はつたえておくから。」

「でも、やっぱり、一度はぜひお伺いしておきたいと思いますし、またと申しておりますと、今度はいつ出て来れますやら……」