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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

一二 考える彼

そしてみんなが不思議がっていろいろたずねても、彼は、

「何でもないよ。」

と答えるきりで、ともすると、何かをじっと見つめがちになるのだった。

一二 考える彼

さて、読者の中には、次郎がいつまでも同じ年頃に停滞しているのを、いくぶんもどかしく思っている者があるであろう。考えてみると、次郎は、母に死に別れてから、まだやっと半年を少しこしたばかりである。話の進行は、実際、のろすぎたようだ。次郎に一日も早く恋をさせたり、広い世間を見させたりしたがっている読者のためには、私は私の物語をもっと急ぐべきであったかも知れない。

だが、誰もが知っているように、人間の「運命」の波というものは、恋をする時とか、広い世間と取っくみあう時とかばかりに、高まって来るものではない。次郎のように、まだ生まれたばかりの時に、一生のうちの頃も高い「運命」の波をくぐりぬけなければならない人も、ずいぶん多いのである。そして、私がこの物語を、単なる興味本位の小説に仕組もうとしているのでなく、次郎という一個の人間の生命を、「運命」と「愛」と「永遠」との交錯の中に描こうとしているかぎり、私は、この半年ばかりの彼の生活についても、そう無造作に筆を省くわけにはいかなかったのである。