Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
次郎はお祖母さんとお芳の顔を等分に見くらべていた。お芳は、しかし、相変らず無表情な顔をしていた。すると俊三が、
「僕、ここで食べる方がいいや。」
と自分のからだでお芳のからだをゆさぶるようにして言った。
「俊ちゃんは、じゃあ、ここで食べろよ。」
恭一は、そう言って、菓子鉢の中のものを、わしづかみにして、いくつか俊三にやった。それは亀の子煎餅だった。俊三は平気でそれを受取った。
「次郎ちゃん、行こう。」
恭一は、そう言いすてて、さっさと階段を上って行った。
次郎もすぐ立ちあがった。彼は立ちがけに、もう一度お芳の顔を見た。
お芳はその時、少し眼を伏せていたが、めずらしく光を帯びた視線を次郎にかえした。それには、たしかにある表情があった。次郎には、しかし、それが何を意味するかは少しもわからなかった。
彼は、同時に、お祖母さんの視線を強く自分の頬に感じたが、それには頓着しないで、すぐ恭一のあとを追った。
二階に行くと、二人は菓子鉢を机の上においたまま、しばらくじっと顔を見あっていた。
「次郎ちゃん、がっかりしなかった?」
恭一がやっとたずねた。
「どうして?」
と、次郎はわざととぼけたような顔をして見せたが、その頬の肉は変に硬ばっていた。