Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

一一 蘭の画

「お祖母さんは僕だけのお祖母さんではないんです。次郎ちゃんにも、俊ちゃんにも、お祖母さんです。父さんだって、母さんだって、やっぱり三人の父さんと母さんでしょう。」

「そうさ。あたりまえじゃないか。」

「じゃあ、なぜ、次郎ちゃんが久しぶりで帰って来たのに、お祖母さんも……母さんも……」

恭一はそう言いかけて、両手で顔を蔽うた。そして、やにわに立ちあがって二階にかけ上ってしまった。

俊亮は大きなため息をついた。お祖母さんは不安な眼をして恭一のあとを見送ったが、すぐその眼を転じて鋭く次郎を見つめた。お芳はじっとうなだれていた。俊三は牛肉をかみやめて、お芳の顔をのぞきこんだ。そして次郎は箸を握ったまま、ぽたぽたと涙を膝にこぼしていた。

鍋の中のものは、かなり景気よく煮立っていたが、その音は何か遠くの物音を聞くようであった。

一一 蘭の画

変にもつれた気分が翌朝になっても解けなかった。

沈默がちな、まずい朝飯をすますと、俊亮は、茶の間の長火鉢のはたで、いつまでも一枚の新聞に目をさらしていた。恭一と次郎とは、何度もその前を行ったり来たりして、座敷の方に姿を消した。