Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
その中には、「あの子も苦労をしたものだ」という燐憫の情や、「ともかくも変にそれなくてよかった」という安心の気持や、また時としては、「もっと子供らしいところがあってもいいのに」という遺憾の意味やがこめられていたことは、たしかである。だが、それ以上の意味でその言葉をつかっていた者が、果してあっただろうか。
十四歳の少年が、自分というものを一瞬も忘れることが出来ないでいる! 愛を求める自分の心に嫌悪を感じはじめている! 自己をいつわる自分の姿の醜さにおびえて、手も足も出なくなっている! そんなことを誰がいったい想像することが出来たろう。
自分を忘れかねている次郎の心を一層窮屈にしたのは、正木のお祖父さんが、おりおり考え深い眼をして、じっと彼を見つめることだった。次郎はその眼に出っくわすと、いよいよ手も足も出ない気持になったのである。次郎の記憶する限りでは、お祖父さんがそんな眼をして彼を見つめるのは何も今はじまったことではなく、彼が正木に預けられてこのかた、よくあることではあったが、このごろになって、彼はそれがとくべつ気になり出して来たのである。それがなぜだかは、彼自身にもわからなかった。