Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
権田原先生もしばらく次郎の顔を見ていたが、
「いや、それよりも、いったい誰のためにやったんだ。」
次郎はやはり返事をしない。
「まさか、相手の青年たちのためにやったとは言うまいね。そこまでは、お前も考えていまい。」
これは次郎にとっては、全く意外の言葉だった。「相手の青年たちのために」――そんなことは彼の思いもよらないことだったのである。
権田原先生は、彼のまごついている眼を見据えながら、
「お前は多分、青年たちになぐられたお前の友だちや、その姉さんのために、仇を討ってやったつもりでいるんだろう。」
次郎は、うっかり「そうです」と答えるところだった。ところが、権田原先生は急に言葉の調子を強めて言った。
「だが、それもうそだ。お前の本心はそうじゃなかったはずだ。」
これも次郎には意外だった。今度は、あまりに当然だと思っていたことを否定されたのが、意外だったのである。
「よく考えてみるんだ。」
権田原先生はそう言って、顎鬚をむしるのをやめ、少し体を乗り出すようにして次郎を見つめた。次郎には、しかし、何を考えていいのかさっぱりわからなかった。彼は、少し腹が立つような気もし、また、何か知ら、うっかり出来ないような気もして、ただおし默っていた。