Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
「べつに何ともなかったよ。」
「君に、その話、しなかったんか。」
「ううん、ちっとも。……僕も君らの話をきいて、今はじめて知ったんだよ。」
「そうか。そうだと君の弟はいよいよ変った奴だな。」
「本田の手には負えんのじゃないかね。」
「だいいち、弟の方が本田を相手にしていないのだろう。」
みんながどっと笑った。恭一はてれくさそうに苦笑して、顔をふせた。
「冗談はよそう。……どうだい、本田、君の弟ってのは、いったい、物がわかる方なのか、それとも、ただの向こう見ずか。」
そう言って、まじめにたずねたのは、大沢雄二郎という生徒だった。彼は、小学校を出てから三年も町の鉄工場で仂いたあと、ある人に見込まれて中学校にはいることになったので、全校一の年長者だった。どっしりと落ちついて、思いやりがあり、しかも頭がいいので、「親爺」という綽名でみんなに親しまれていた。とりわけ恭一は彼に親しんだ。親しんだというよりは、心から尊敬していたといった方が適当かも知れない。性格はまるでちがっていたが、物の考え方はいつも同じで、しかも世間を知っているだけに、大沢の方にずっと深みがあった。大沢の方でも恭一を真実の弟のように愛した。