Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
そんなことは、このごろの彼には、あまり似つかないことだったのである。
弁当は、いつの間にか空になっていた。次郎は、しかし、箸を握ったまま、いつまでも机に頬杖をついてぼんやり窓の外をながめていた。
窓の五六間さきは道路で、学校の敷地との境は、木柵で仕切ってある。次郎は、見るともなく木柵を見ているうちに、急に「おや」と思った。木柵の外を二人づれの女が通り、その一人がお浜そっくりに見えたからである。
彼は、弁当がらをそのままにして、やにわに外に飛び出した。そして、木柵と銃器庫との間を、その女の歩いて行く方向に走った。
うしろ姿は、どう見てもお浜だった。次郎はあぶなく声をかけるところだった。しかし、彼女と並んで向側を歩いている女が、赤い日傘をさした十五六歳の少女だと気がつくと、声をかけるのが妙にためらわれた。もし人ちがいだったら……と思うと、少女の手前、いよいよ声が出せなくなるのだった。
彼は、顔を正面に向けて、そのまま彼らを追いこした。そして三四間も抜いたと思うころ、廻れ右の練習でもやっているようなふうを装って、木柵の隙間から二人の顔をのぞいて見た。
やはりお浜にちがいなかった。