Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
今は坊ちゃんお一人だったから、すぐわかりましたけれど。」
お浜はそう言って、うしろをふり向いた。
「坊ちゃん、あの子、誰だかおわかり?」
次郎はうなずいた。彼は、お浜のうしろに立っている少女がお鶴であることが、もう、さっきからわかっていたのである。
お鶴は、ややうつむき加減に、左頬を見せていた。白いものを少し塗っているので、以前ほどに眼立たなかったが、お玉杓子に似たあざは、やはり、もとのままだった。
「あの子も大きくなったでしょう。今日は、今から二人でお宅にお伺いしますわ。……坊ちゃんは何時ごろお帰り?」
「二時までだけれど、剣道だから、ちょっとおそくなるよ。」
「でも、三時頃には、お宅にお帰りになれるでしょう。あたしも、ちょっと買物をしますから、たいてい、ごいっしょごろになりますわ。お宅でゆっくり話しましょうね。」
「僕、なるだけ早く帰るよ。」
次郎は、そう言って、柵をはなれながら、ちらっとお鶴の方に眼をやった。お鶴も、その瞬間、まともに彼の方を見た。
二人は、視線がぶつかると、あわてたように下を向いた。
次郎は、すぐ教室の方に、帰りかけたが、途中でもう一度立ちどまって、柵の隙間を縫って行く赤い日傘を見おくった。