Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
次郎には、それが物足りないというよりは、何かしら気になった。で、カバンを二階の子供部屋の机の上におくと、自分もすぐ座敷の方に行ってみるつもりで、梯子段を降りかけた。しかし、梯子段の下には、もう従兄弟たちが待っていて、やんやとはしゃぎながら、彼を蝋小屋の方にひっぱって行った。
蝋小屋の蒸炉には、火がごうごうと燃えていた。従兄弟たちは、そのまえに行くと、めいめいに火掻や棒ぎれをにぎって、さきを争うように、炉口にうずたかくなっている蝋灰をかきおこしはじめた。蝋灰のなかからは、まるごとに焼けた薩摩芋がいくつもいくつもころがり出た。
次郎は、もうすっかり腹が減っていたので、その香ばしい匂いをかぐと、すぐその一つに手を出した。火傷しそうに熱いのを、両手で持ちかえ持ちかえしながら、二つに折ると、黄いろい肉から、湯気がむせるように彼の頬にかかった。彼はふうふう吹いては、それを食った。従兄弟たちもさかんに食った。食いながら、みんなでいろんなおしゃべりをしては、笑った。
次郎は、急にのびのびしたあたたかい気持になり、きのうまでの不愉快な生活を夢のように思い浮かべた。