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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

坊ちゃんは何ていったって、子供ですもの。やっぱりお祖母さんやお母さんが……」

「乳母やは、駄目だなあ。まだあんなこと言ってる。乳母やは、僕がお祖母さんや母さんを嫌いになるのが好きなんかい。」

「そうじゃありませんけれど……」

「なら、よせよ。僕がお祖母さんや母さんが嫌いになったら、お祖母さんだって、僕を嫌いになるだろう?」

「…………」

お浜は深い吐息をした。

「おっかちゃん!」

と、その時、お鶴がだしぬけに声をかけた。

「駄目ね、おっかちゃんは。……あたしだって、次郎ちゃんの言ってること、もうわかってるわよ。」

「乳母や、まだわかんないの――」

と、次郎はお浜の頸に手をかけて、

「お鶴だって、もう乳母やより偉いんだぜ。」

お浜は、もう一度軽い吐息をした。そして、

「ほんとうにね。」

と、しみじみと言ったが、

「だけど、それでいいんでしょう? 許して下さるでしょう。だって、誰よりもお偉い坊ちゃんをお育てしたのは、この乳母やですもの。」

お浜は、そう言って、もう一度そのしなびた乳房を次郎の手に握らせた。

三人は、涙ぐましい気持を、そのまま夢の中に運んで行った。そして、その夜は、抱く者と抱かれる者とが、全くその位置をかえたような一夜であった。