Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
四 寝言
次郎は、その顔からべつに不快な感じはうけなかった。しかし、記憶に残っている母の引きしまった顔とくらべて、何だか気のぬけた顔だと思った。
俊亮は、座敷に残ったまま、二人を送って出なかった。そして、それから老夫婦と二十分ほど何か話したあと、帰り支度をはじめた。次郎は彼の顔にも注意を怠らなかったが、別にいつもと変った様子がなかった。
「次郎はまだ起きていたのか。」
あっさりそう言って、上り框をおりた父の様子には、次郎だけが味わいうるいつもの親しさがあった。次郎は何か知ら安心したような気持になった。
俊亮は土間で自転車に燈を入れながら、お祖母さんに向かって言った。
「急にっていうわけにも行きますまいが、いずれ母の考えもききました上で、手紙ででもご返事いたしますから。」
次郎はそれでまた変な気になった。
彼は床にはいってからも、ぼやけたような顔だと思った女の顔を、案外はっきり思いうかべた。そして何度もねがえりをうった。
四 寝言
正月も終りに近いころだった。次郎が学校から帰って来ると、茶の間でお針をしていたお延が、いかにも意味ありげな微笑をもらしながら、言った。