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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

しかも、時としては、彼はそのために誇張としか思えないような文句まで考え出すのだった。これは、しかし、彼の母への思慕の不純さを示すものだとはいえなかった。彼は、まだ、思いきりお浜に甘えてみたい気持だったのである。母への思慕を濃厚に表わすことが、今では、お浜への思慕を濃厚に表わすことであり、彼はそうすることによってのみ、存分にお浜に甘えているような気持になることが出来たのである。

次郎にとって、何の自制心も警戒心も必要としないただ一人の相手、嘘であろうと、誇張であろうと、そのままにうけ入れてくれるただ一人の相手、そして、かりに腹をたてあうとしても、腹を立てあうそのことが、愛のしるしでさえあるようなただ一人の相手、それは今でも、お浜だけであるということを、読者はやはり忘れてはならない。

ところで、次郎は不思議にも、お浜自身に対する彼の思慕を、彼の手紙のなかに、あからさまに書いたことなど、一度だってなかった。彼は、お浜自身に関しては、いつも手紙の末には、「乳母や、では、たっしゃでお暮しなさい。」と書くだけだった。そのほかに、もし彼のお浜に対する深い愛情を示す直接の言葉を求めるとすれば、恐らく、母の葬式後別れてからの最初の手紙に、「僕が大きくなるまで丈夫にしていて下さい。