Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
しかし、誰も心から恐怖を感じているようには見えなかった。先生のにぎり拳はいかにも豪壮だったが、その眼は微笑をふくんで、みんなの頭ごしにずっと遠くの方を見ているように思えたのである。
先生は言った。
「勝手に列をくずしたり、おしゃべりをしたりするのは卑怯だぞ。先生の眼はうしろにはついとらんからな。」
そして、そう言ってしまうと、すぐまたくるりと向きをかえて、のそのそと歩き出した。みんなは、自分たちで、校庭を出た時のようにきちんと列を正し、しずかにそのあとについた。が、それで一丁ほども歩いたかと思うと、先生は、今度は、前を向いたまま、弁当をぶらさげていた左手を高くふりあげて言った。
「うむ、それでいい、もうそれでおしゃべりをはじめても構わん。ついでに列をくずすことも許してやろう。別れっ。みんな先生より先に行くんだ。いつまでも先生のあとにばかりついているような人間は偉くなれん。試験も落第だ。」
みんなは、いっせいにわっとわめいて、先生を半丁ほども追いぬいた。中には一丁以上も追いぬいたものがあった。次郎もみんなといっしょに先に出るには出たが、しかし、みんなのなかでは、彼が一番あとで、先生との距離は五間とははなれていなかった。