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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は、みんなといっしょになってはしゃぐ気がしなかったのである。

おおかた十四五分間も、彼は誰とも口をきかないで歩いた。まだ芽をふかない道ばたの櫨の木から一羽の大きな鴉が、溜池の向こうの麦畑に舞いおりて、首をかしげながらこちらを見ているのが、妙に彼の心をひいた。彼は、その鴉を見た眼で、ひょいとうしろをふりかえって見た。すると、権田原先生もその鴉を見ていた。しかし、次の瞬間には、二人の眼がぶっつかった。先生の眼は無表情なような、それでいて次郎の心を捉えずにはおかない、深い眼だった。

次郎は、何かきまりわるいような気がして、いそいで正面を見た。すると先生が言った。

「本田、お前は先生といっしょに歩け。」

二人はすぐ並んで歩き出した。しかし、どちらも、しばらくは口をきかなかった。

「君は中学校にはいると、いよいよ本田の人になるんだね。」

五六分もたってから、先生がやっと言った。

次郎は、答える代りにそっと先生を見上げた。すると先生がまた言った。

「君が正木のお祖父さんのうちに行ってから、もうどのくらいになるかね。」

「四年生からです。」

次郎は今度ははっきり答えた。