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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

自分も周囲の人々も、自分を不幸な子供だときめてしまっているところに、自分のその日その日が成立ってでもいるかのような気持で、あらゆる場合をきりぬけて来たのが、彼の物ごころづいてからの生活だったのである。だから、彼は、権田原先生にそう言われても、変にそぐわない気がするだけだった。

「どうだい、自分ではそう思わないかね。」

と、先生は次郎の頭をもう一度ゆさぶった。次郎は顔をあげて、ちらと先生の眼を見たが、やはり返事をしなかった。

「世の中にはね――」

と、先生は次郎の頭から手をはずして、ゆっくり言葉をついだ。

「沢山の幸福にめぐまれながら、たった一つの不幸のために、自分を非常に不幸な人間だと思っている人もあるし、……それかと思うと、不幸だらけの人間でありながら、自分で何かの幸福を見つけ出して、勇ましく戦って行く人もある。……わかるかね。……よく考えてみるんだ。」

次郎には、先生の言い方が少しむずかしかった。しかし、まるでわからないというほどでもなかった。で、何度もその言葉を心のうちでくりかえしているうちに、先生が何のためにそんなことを言ったのかが、次第にはっきりして来た。