Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
彼は、乳母、父、正木一家、春子、恭一、そして最近の大巻一家と、つぎからつぎに、自分と交渉の深かった人たちのことを思いうかべてみた。そして、現在自分の不幸の原因になっている人は、けっきょく本田のお祖母さんだけだと気がついた時に、彼は、自分というものが急にまるでちがった世界におかれたような気がして、何か驚きに似たものを感じずにはおれなかった。
この驚きは、彼にとって決して無意味ではなかった。むろん、それは、まだ何といってもかるい知的な驚き以上には出ていなかったので、それによって、彼がはじめて母の愛を感じた時のような大きな転機を、彼に求めるわけにはいかなかった。しかし、彼の年配での、物ごとの知的理解というものは、これまでそれをくらましていた主観の雲が濃ければ濃いほど、時としては、かえって大きな力になって行くものなのである。
実際、権田原先生は、自分の予期した以上の変化を次郎の様子にみとめて、自分ながら驚いた。重かった次郎の足は、それから見ちがえるほど軽くなり、口のきき方も次第にはればれとなって来たのである。
次郎は、それからかなりたってから、だしぬけに言った。