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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

ともかくも、こうして、次郎は正木一家のひとびとに取りかこまれ、しばしば、お浜に手紙を書き、自由に母の追憶にふけっているかぎり、大して不幸な生活をおくっているとは言えなかったのである。

もっとも、竜一の姉の春子が、いよいよ正式に縁づくことになり、母の死後間もなく、東京に発って行ってしまったと聞いた時には、腹も立ったし、悲しくも思った。このまえ彼女が東京に行って、一旦帰って来た時に、すぐにも訪ねたいと思ったが、そのころは母が危篤で、学校も休んでいたし、いよいよ葬式がすんで学校へ通えるようになってからも、忌中におめでたまえの人の家を訪ねるものではないと、正木のひとびとに言いきかされていたので、とうとう会えないでしまったのが、とりわけ心残りでならなかった。しかし、それも母の死という大打撃のあとだったせいか、このまえ春子が東京に行くと聞いた時にくらべると、不思議なほど、心にうけた痛みが軽かった。そして、時がたつにつれて、学校で竜一の顔を見ても、めったに春子のことを思い出さなくなり、たまに思い出しても、それは、春子の東京土産にもらった硝子製のライオンとともに、むしろ甘い追憶の一つになりかけて来たのである。