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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

あんなこといったの、わるかったんです。だけど、次郎ちゃんとも仲よく……したいんです。お祖母さんにも、次郎ちゃんを可愛がってもらいたいんです。」

恭一は、うつぶしたまま、どてらの中からむせぶように言った。

次郎は、いつのまにか敷蒲団のうえに起きあがって、二人の様子を眼を皿のようにして見つめていた。しかし、その時、彼の心を支配していたものは、怒りでも、悲しみでも、驚きでもなかった。彼は恐ろしく冷静だった。耳も眼も、これまでに経験したことのないほど、冴えきっていた。彼は、恐らく、お祖母さんが彼の方に鋒先を向けかえて、何を言い、何をしようと、そのどんな微細な点をでも、見のがしたり、聞きのがしたりはしなかったであろう。それほど彼は落ちついていたのである。

むろん、彼のこうした落ちつきは、彼が幼いころから、窮地に立った場合いつも発揮して来たところで、いわば彼の本能であった。しかし、この場合、その中身は、以前のそれとはずいぶんちがっていた。この場合の彼には、すこしもずるさがなかった。自分を安全にするために策略を用いようとする気持などは、微塵も動いていなかった。