Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はただ無意識のうちに真実を見、真実を聞き、真実を味わっていたのである。

なるほど、彼の心のどこかには、お祖母さんに対する皮肉と憐憫との妙に不調和な感情が動いていた。また、自分のこれまで持っていなかった、ある尊いものを、恭一の言葉や態度に見出して、単なる親愛以上の高貴な感情を、彼に対して抱きはじめていた。しかし、そうしたことのために、真実が、次郎のまえに、少しでもその姿をゆがめたり、曇らしたりはしていなかったのである。いな、かえって、真実をはっきり見、聞き、味わった結果として、そうした感情が彼の心に動きはじめていたといった方が本当であろう。

「運命」と「愛」と「永遠」とは、こうして、いろいろの機会をとらえては、次郎の心の中で、少しずつおたがいに手をさしのべているかのようだった。だが、次郎はまだ何といっても少年である。「永遠」は見失われやすいし、「愛」は傷つきやすい。ただ「運命」だけは、どんな場合にも彼をとらえてはなさないであろう。

お祖母さんは、それから、いつまでたっても恭一のそばをはなれなかった。二人とも、もう泣いているようでもなかったが、やはりつっ伏したままだった。