Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
かれは、その日、夕食をすまして自室にかえると、机の上に一通の分厚な封書を発見した。かれは、その発信人が道江であることを知った瞬間、おどろくというよりは、むしろ恐怖に似た感じで胸をふるわした。かれには、すぐには封を切る勇気が出なかった。もしもそれが一枚のはがきに帰郷を報じて来たものにすぎなかったとしたら、かれはただ寂しい気持ちでそれを読みすてたかもしれなかった。また封書ではあっても、それがわずか二三枚の便箋に書かれたものであったとしたら、かれはその中から何か言外の意味を探ろうとして、くりかえし読んでみたかもしれなかった。だが、それはあまりにも分厚であり、分厚であるというそのことが、内容を想像してみるまえに、ただわけもなくかれを不安にしたのである。
かれは封を切らないままで焼きすてようかと、何度か思ってみた。しかし、それははかない努力であった。焼きすてようと思ってみただけで、焼きすてたあとに感ずるであろう不安が、現在の不安以上の力をもってかれにせまって来るのだった。かれは封書を前にしたままながいこと迷った。迷えば迷うほど、一方では自分のふがいなさが感じられて、腹だたしくも悲しくもなった。