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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

道江の手紙を受け取って以来、次郎の関心が、事変後の国情とか、塾の運命とかいうようなことからいくぶん遠ざかっていたことは、いうまでもない。かれはおりおり自分でそのことに気がついて、ぎくりとした。一女性の問題に心を奪われて公けの問題を忘れることは、かれにとっては、人間としての良心の問題であり、少なくとも自尊心の問題だったのである。そしてこの反省は、大河無門の顔がかれの視界にあらわれる時に、とりわけきびしかった。そのために、かれはこのごろいよいよ大河がおそろしくなってきたのだった。

さて、二月二十六日の事件が始まって十日近くもたつと、新聞の記事もそろそろ平常に復し、友愛塾では、しばらくぶりで日曜らしい日曜を迎えることになった。その日は天気もよかったので、塾生たちは朝食をすますと、先を争うようにして外出した。事変のあった現場を見たいという好奇心もかなり強く手伝っていたらしかった。

次郎は、まだやはり道江の手紙のことが気になって、外出する気にはむろんなれず、かといって落ちついて読書もできず、例によって日あたりのいい広間の窓によりかかって、ひとりで思い悩んでいた。