Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
ところが、荷物もあらましかたづき、階下の六畳二間を先生の書斎と茶の間兼食堂に、二階の四畳半を次郎の部屋にあて、夫人の手で簡素ながらも一通りの装飾まで終わったころになって、先生は、ある夕方、外出先から帰って来て室内を見まわしながら言った。
「せっかく整理してもらったが、近いうちにまた引越すことになるかもしれないよ。」
「あら。」
と夫人は、めったに先生には見せたことのない不満な気持ちを、かるい驚きの中にこめて、
「やはり、こちらでは手ぜまでしょうか。」
夫人がそういうと、次郎も、それが自分のせいだという気がして顔をくもらせた。先生は、しかし、笑いながら、
「手ぜまなのは、覚悟のまえさ。越したところで、どうせ今度の家も広くはないよ。あるいは、ここよりも窮屈になるかもしれん。実は、はっきり決まらないうちに話して、ぬか喜びをさせるのもどうかと思って、ひかえていたんだが、私がかねて考えていたことが近く実現しそうになったのでね。」
「考えていらしったことといいますと?」
「青年塾のことさ。」
「あら、そう?」
夫人はもう一度おどろいた。それは、しかし、深い喜びをこめたおどろきだった。