Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
タンツボにだって、あいているから、さきおはいんなさいって云ってるよ。居留民保護という段になりゃ、ベタ金だって、タンツボだって、働きに変りはねえからな。……ちゃんと、こら、俺れゃ、一番風呂に失敬してやった。」
「まだ、誰れも来ていなかったかい?」
「うむ、来ていない。」
「製氷会社の奥さんは、若い奥さんだね。」
「うむ、一寸、可愛い顔をしている。」
「よし、俺も行って垢を落してきよう。」
「俺も行くよ。」
「俺も行く。」
彼等は、泥棒をやる時の愉快さを知っていた。靴紐を結ばずに、靴の中へなでこんだ。十四人が、汗のにじんだ手拭をさげ、石鹸は一ツも持たずに、マッチ工場から、貧民窟とは反対側の雑草が青濃く茂っている広場を横ぎった。――チット人数が多すぎるぞ。が、一人をやめさすのなら、十四人がみなやめなければならなかった。赤い屋根の上に、巨大な貯水タンクがのっかっている。そこが製氷公司だ。
一町あまりも距っていた。
そこは、蛋粉工場へ行った中隊の方に近かった。門を這入る。ポンプが動いていた。
ふと、赤煉瓦建ての扉のうちから、将校らしいきれるように冴えた音声が呶鳴った。顔見知りの一等卒が、蛸をゆでたように、真赤になって、似指を振りだしのまゝとび出してきた。