Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶそうせるしがい

武装せる市街

黒島 伝治

Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme

Aozora Bunko

三

紫黒の煙が、六百打詰の木箱から、四方へ、大砲を打ったように、ぱあッとひろがった。煙に取りまかれた紅月莪は、指を焼いたらしかった。

小山は、骨ばった手を口にあてゝ煙にむせながら、こっちから、じろりと眼をやった。焼いた手を痛そうに、他の手で押えながら顔をあげて、ぐるりをはゞかるように見わたした紅は、小山の視線に出会すと、すぐ、まだ煙が出ている木箱の方へ眼を伏せた。

幹太郎は、小山の下顎骨の落ちこんだ口元が、苦るしげに歪むのを見た。紅は、なお気がかりらしく、今度は恐る恐る、上目遣いに職長の方を見た。

依然として、濛々とゆれている煙に、小山は、なお、胴ぐるみにむせていた。

幹太郎は事務所の方へ歩いた。

三

蒋介石の第二次の北伐と、窮乏した山東兵の乱暴と狼藉が、毎日、巷の空気をかき乱した。

名をなすために排日宣伝を仕事とする者もあった。何故、排日をやるかときくと、食えないからやるのだ、と答えたりした。

六カ月も、七カ月も、一元の給料さえ、兵卒に支払わない、その督弁の張宗昌は、城門附近で、自動車から、あわれげな乞食の親子を見て、扈従に、三百元を放ってやらした。