Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
張作霖からは、譴責を喰っている。没落以外に道はない。中津は、それを観取していた。
「くそッ! 今が、あいつとの腐れ縁も見切時かな。」
……彼は、昔の浪人にかえってしまった。戦線から退却してくると、直ちに、猪川の家へ立ちよった。竹三郎が、留置場に呻吟している。家に幹太郎以外、男けがない。これも昼間はいなかった。これは、彼に、頗る好都合だった。暫らく、前線に出て、すゞを見なかったことは、彼の気持を枯淡にせしめるどころかむしろ、五十の情熱をかり立てるのだった。
彼の、すゞに対する感情は、老人が、自分の孫にあたるような幼い娘を、老後の断ち切ることの出来ない欲情から愛ずる。――そういう気持になるかと思うと、ええい、恋のへちまのと、上品ぶったまだるッこいことは面倒だ。いっそ、荒療治で、あっさりと無断で失敬して行っちまおうか? その方が面白れえや! と、この二ツの間を、乗合いみたいに往復した。彼は、このブラ/\する自分の感情を噛みしめるのが愉快だった。
噛みしめて、そのさきをどうするか、それを空想するのが愉快だった。
中津の、再度の訪問、これは、すゞにも、俊にも、それほど、恐怖を与えなかった。