Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
一郎を南軍に取られてしまった! 彼女たちは、父親の背でむずかる眼の赤い子供を見て、始めてそれを思い出した。どこで失ってしまったか? はっきりした記憶がなかった。
ひっかえして探しに行くのは、命がけだった。彼女は、自分の身を守るだけに力いっぱいだった。
――また、おおぜいの女達が足袋はだしで、どや/\と飛びこんできた。詠仙里の娼婦だった。支那兵が女郎屋街に這入りこんだ。娼婦はすっかりあわてゝしまった。
裂けたワイシャツに、ズボンだけの男は、アンペラに腰をおろすことも出来ず、弾丸よけに毛布を垂らした窓の傍に突ッ立って、唇をかみしめ、ポケットに、片手を突ッこみ、光った眼で前方を見つめていた。じっとしていられない焦躁が、その身体全体に現れていた。妻と子供を見失ってしまった人だった。
「まあ、小出さん! おききなさい。うちの百々ちゃんはね……」
また、牝鶏がうるさく繰りかえしだした。
すゞは、中津らが彼女の家へ押し入ってきた時、俊と一郎と三人で隣の馬貫之の棕梠の張った床篦子の下で小さくなっていた。それを覚えている。たしかに三人だった。寝台にも、寝具にも、その附近すべてに、支那人の変な匂いがしみこんでいた。