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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶそうせるしがい

武装せる市街

黒島 伝治

Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme

Aozora Bunko

いない。夕方になった。まだ帰らない。翌々朝になった。まだ帰らない。交代した歩哨は、寝不足と夜露で蒼くなって、宿舎へ這入ってきた。消息がない。

高取らの指揮者の、重藤中尉は、ひひ猿に頬ッぺたをなめられたような顔をして、どこからか帰って来た。室の隅の木谷と柿本は、身に疵があるのに、強いてそれをかくして笑うような中尉の笑い方に目をとめた。

木谷の直感は、その笑い方に、ぴたりとかたく結びついた。彼は、中尉の心の状態が手にとれるような気がした。

「どうだい、今日は、源門の攻撃だぞ……。」

「そうですか。」

木谷は、ご機嫌を取るように近づいてくる相手の疚しげな顔つきに、平気な、そッけない声で答えた。

「今日、お前らが、ウンときばればもう落ちてしまうんだぞ。」

「そうですか。――中尉殿! 高取なんぞ、どうしたんでありますか。一昨日から帰らないんであります。どこを探しても見つかりません。」

「なに、それを訊ねてどうするんだ! 木谷! お前、高取に何の用があるんだい?」

急に、重藤中尉は、険しい眼に角を立てて声を荒だて木谷に詰めよってきた。木谷をも、また銃殺しかねない見幕だった。