Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
」
「一体、誰奴にやられたんだ!」黒岩が云った。「誰奴がやりやがったんだ。犯人は、はっきり分らんか?」
「黙っていろ! それをきいたって無駄だ。」木谷は、厳粛な素振りで手を振った。「云わなくたって分っている。あいつだ!」
「あいつッて?」
「あいつだ!」
暫らく彼等は無言でいた。
傷ついた肩から玩具のようにブラさがっている片腕を、三角巾で首に吊って柿本は、木谷らと、屍室へ歩いた。大腿骨が砕けた黒岩は動けなかった。院庭から見える市街は荒廃し切っていた。踏み折られて泥にまみれた草は、それでも、又、頭を持ちあげようとしていた。アカシヤは、風にもかゝわらず、なお一層青々としていた。屍室には、看護婦や、患者や、兵士や、街の人々が、入口と窓の外に、黒山のようにたかっていた。五人の、犬にしゃぶられた遺骸を見ようとつまさきで立ちあがっている。
高取たちは、もう、暑さで腐爛していた。酸っぱい鼻もちのならぬ腐肉の匂いと、線香の煙がもつれあって、嗅覚を打った。どれが高取だか、那須だか、玉田だか分らない。白布で蔽うてあった。殺されたまゝ放任されていたのだ。捜索隊が行くまで、毛のむく/\した野犬どもが集って、舌なめずりをしながら、しゃぶっていたそうだ。