Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
すゞは、二回、三回のうちに税関をだまくらかすのを痛快がりだした。
「お前、あの時、どんな気がしたい?」
露顕した時の恐怖と、親爺への不服が忘れられない幹太郎は、あとから、すゞに訊いた。
「どんな気もしない。ただお父さんが気の毒で可哀そうだっただけ。」
「お前は、腹のまわりに袋に入れたあの粉をまきつけて、――おや、妊娠三カ月にも見えやしなくって? なんて、ひどく気に病んどったじゃないか。」
「それゃ、気になったわ。帯がどうしても、うまく結べないんだもの、――でも、そんなこと、なんでもなかった。ただお父さんが可哀そうだったの、始めて済南へ連れて来る子供とそれから花嫁さんにまでこんなことをさせなけりゃならんかと思ったら、お父さんが可哀そうで、涙がこぼれたわ。」
「なあに、見つからせんかと、びくびくものだったくせに、今になって、ませた口をたたいてやがら。」
「じゃ、兄さん、あの時から、こっちの暮しが、こんな見すぼらしいものだって分ってて?」
「俺ら、なんぼなんだって、こんなにひどいとは思わなかったよ。」
「私、ちゃんと分ってた。……おじいさんがなくなったのに、お母さんもつれずに、たった一人っきり、お父さんが帰っちゃったでしょう、あれで、もうすっかり、すべてが分るじゃないの。