Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ししゃのしょ

死者の書

折口 信夫

Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme

Aozora Bunko

薄れかかった茜の雲が、急に輝き出して、白銀の炎をあげて来る。山の間に充満して居た夕闇は、光りに照されて、紫だって動きはじめた。

そうして暫らくは、外に動くもののない明るさ。山の空は、唯白々として、照り出されて居た。肌 肩 脇 胸 豊かな姿が、山の尾上の松原の上に現れた。併し、俤に見つづけた其顔ばかりは、ほの暗かった。

今すこし著く み姿顕したまえ――。

郎女の口よりも、皮膚をつんざいて、あげた叫びである。山腹の紫は、雲となって靉き、次第次第に降る様に見えた。

明るいのは、山際ばかりではなかった。地上は、砂の数もよまれるほどである。

しずかに しずかに雲はおりて来る。万法蔵院の香殿・講堂・塔婆・楼閣・山門・僧房・庫裡、悉く金に、朱に、青に、昼より著く見え、自ら光りを発して居た。

庭の砂の上にすれすれに、雲は揺曳して、そこにありありと半身を顕した尊者の姿が、手にとる様に見えた。匂いやかな笑みを含んだ顔が、はじめて、まともに郎女に向けられた。伏し目に半ば閉じられた目は、此時、姫を認めたように、清しく見ひらいた。軽くつぐんだ脣は、この女性に向うて、物を告げてでも居るように、ほぐれて見えた。