Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
たまたま去る八月二十日尾崎文部大臣の大日本教育茶話会で試みた演説が、はしなくも物議を醸し、旧自由党員は奇貨措く可しとしてこれを共和演説と誣い、文教の責に在る者よろしく闕下に罪を乞うべし、といった調子で論難した。自由派の新聞もまた筆をそろえて呼応した。要するに尾崎を閣内から追って、均勢論の宿望を達しようという策動であった。
十月十五日のことである。大蔵大臣官邸に茶話会があって、正造もそれに呼ばれて列席した。話がたまたま被害民三千人の出京のことに及んで、隣席の西郷従道が微笑をふくみながら、
「このあいだの仕事はありゃすこし器用すぎる。自分が煽てておいてまた説諭して帰したじゃないか」
それをきくと正造はグイとむき直って、しばらく相手を見つめていたが、
「それや西郷さん、余りにもののわからない話だ。物事はもうすこし表裏を見透さないといけませんぞ。なるほど自分が煽動してまたそれを説諭するということも、世の中にはないこともなかろうが、それは自由党とか進歩党とかいうような団体のものとか、または一カ所にまとまっている者たちでなければできることでない。先日出京した被害民はごく激甚地の者ばかりだが、それでも彼等の居村は渡良瀬川沿岸十八里間に亘っている。