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Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

すると、その夜おそくなって、正造はなにごともなく解放されて越中屋へ戻ってきた。額を集めて、ただあてもない推量や臆測をくりかえして嘆息していた人々は、思いがけなく無事な正造の姿を見てホッと愁眉をひらき、抱きかかえるようにして座敷へ導き入れた。怒ったような険しい顔付で、少しく寡黙になったというだけで、正造の様子には平常とあまり変りもなかった。

「御無事でなによりでございました」

「ほんとうにどうなることかと思いました」

周囲から口々に挨拶するのを、正造は感慨深そうに聴いていたが、

「陛下のおそばに通ずる道に雑草が生えていたから、それを除こうと思ったのだが……」

と、ぽつりと洩らした。それからまた間をおいて、

「殺されなかったのが不思議だ、今朝でかけるときは、生きて帰るつもりはなかったのに……」

そういって深い溜息をついた。目の裡は沈痛な光におおわれていた。

翌朝の新聞は事件の経緯を特筆するとともに、予て病臥中の内海内務大臣が、昨日直ちに病躯をおして天機奉伺に参内したことを報じ、また正造の奉状の全文をかかげていた。

ともかくこの事件は朝野の人々を震撼させた。