Japanische Klassiker mit Furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Lesen Sie 照葉狂言 (てりはきょうげん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.730 Zeichen · 100 Bildschirme
」
「だって何だから……どうしたんだなあ。」
ひたすら楽屋の方打見やる。国麿は冷かなる笑を含み、
「用があるんか。誰か待ってるか、おい。」
「誰も待ってやしないんだ。」
「嘘を吐け。いまに誰か来るんだろう。云ったって可いじゃないか。」
「誰も来るんじゃあないや。そうだけれど……困るなあ。」
「何を困るんだ。え、どうしたんだ。」
「どうもしないさ。」
「じゃあ困る事はないじゃあないか。な、一所に帰ろうと云うに。」
顔の色変りたれば恐しくなりぬ。ともかくも成らば成れ、ともに帰らむか。鳥居前のあたりにて、いかなる事せむも計られずと思いて逡巡するに、国麿は早や肩を揚げぬ。
「疾くしないかい、おい。」
「だって何だから。」
「何が何だ、おかしいじゃあないか。」
「この座蒲団が……」
国麿はいま見着けし顔にて、
「や、すばらしい蒲団だなあ。すばらしいものだな、どうしたんだ。この蒲団はどうしたんだ。」
「敷いてくれたの。」
「誰が、と聞くんだ、敷いてくれたのは分ってらい。」
「お能のね、お能の女。」
「ふむ、あんな奴の敷いたものに乗っかる奴が有るもんか。彼奴等、おい、皆乞食だぜ。踊ってな、謡唄ってな、人に銭よウ貰ってる乞食なんだ。