Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.387 Zeichen · 453 Bildschirme
そこで終り。
そういう苦しみを夫婦で凌ぐのに、景色の変った山へのぼって暮して、それで転換するのも何だか腑に落ちぬ。
谷川さんその他、夫婦愛の醍醐味として讚えているが、わからない。根本に分らない。それでこの間、菊子さんが来たとき、それを話しました(弟子だから)。すると、「暗夜行路」は自伝風な作と思われているが、実際はそうでない。架空のものの由。
「じゃ、猶変だ。だって一般に自伝的なものとしているでしょう? その作品の中に、誰がみたって奥さんそっくりと思える人が描かれ、そういうことがあれば、そうかと思う」「奥さんは再婚の方ですから、先生の心にある或気持から、考えられたんじゃないんですか」「そういうの、わるいと思う。だって、現実の気持のそれを、ああいう形で、あんな重大な、妻のああいういきさつに描いて卒業するなんて!」
作家のエゴイズム以前にある男のエゴイズム、それを感じていない作者。菊子さんもそれには異論なかった。
人間のいきさつ、心持、それを人並より潔癖であるとされている作者でも、環境とその自省の鈍磨、いい痛棒のくらわし手がないと、こういう極めて人間の真髄的な箇所で、潔癖の反対になる。